現 理工学研究科 准教授(物質科学部門・物質基礎領域)
テニュアトラック普及・定着事業
生物物理、物理化学
[Biophysics, Physical Chemistry]
平成27年4月1日 着任
令和 2 年4月1日 テニュア付与
蛍光相関分光法、一分子計測、蛋白質構造機能相関
[Fluorescence correlation spectroscopy, Single-molecule FRET technique, Structure-function relationship of proteins]
生物の構成要素の一つである蛋白質は、その複雑な構造がゆえにいくつもの準安定構造を有しています。 細胞内で起こる、これら準安定構造間の構造転移は、蛋白質の様々な生理機能発現に重要な役割を果たしているため、蛋白質の溶液中での構造とダイナミクスを理解することは、我々の生命を理解する上での重要命題です。 そのような背景から、私達は蛋白質のダイナミクスを深く理解するための新しい分光法の開発を行っています。 さまざまな分光法のうち、私達は蛍光相関分光法と呼ばれる手法に着目しています。蛍光相関分光法は、分子の拡散や構造変化に関する情報を蛍光強度の相関として検出、解析する手法です。私達はこの有力な手法を改良し、蛍光寿命の相関を検出、解析可能にする新規な蛍光相関分光法の開発に成功しました。これにより、蛋白質の複雑なダイナミクスを高い時間分解能で定量的に解析することが可能になりました。 今後は、こちらも生物にとって重要な構成要素である脂質二重膜と、脂質と相互作用する膜蛋白質のダイナミクスに焦点を当て、蛍光相関分光法のさらなる改良に基づく詳細な研究を行っていきます。