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[2016.01.13] テニュアトラック第5回シンポジウム「脳システムの作動原理とその形成」を開催しました

2016年1月22日

テニュアトラック第5回シンポジウムを終えて
埼玉大学テニュアトラック推進オフィス
平成28年1月22日


■ シンポジウムの様子は こちら

平成28年1月13日、埼玉大学研究機構によるテニュアトラック第5回シンポジウム「脳システムの作動原理とその形成」が、テニュアトラック助教の津田佐知子氏とそのメンターの理工学研究科教授の弥益恭氏により企画され、埼玉大学脳抹消科学研究センターとの共催で開催されました。総数96名の参加(埼玉大学教員18名、他大学・研究所4名(講演者を含む)、学部・院生74名(内8名の外国人留学生))を得て、脳科学の先端的な研究成果が披露され、また活発な質疑・討論が交換されました。大変有意義なシンポジウムであったと思います。講演者並びに準備等でご尽力いただいた皆様には、この場をお借りして感謝申し上げます。
テニュアトラックが主催するシンポジウムは、ただ単に研究成果発表の場の提供にとどまりません。本シンポジウムは、1)新しい時代の人材採用・養成制度として期待されているテニュアトラック推進・定着事業への理解を深めていただき、また、2)時代の要請でもありますイノベーションへの挑戦や、異分野の研究の連携・融合への取り組みを促す等、テニュアトラックならではの意図をもって企画されました。例えば、テニュアトラック助教乙須拓洋氏は、生命科学と応用化学とのコラボレーションの可能性について講演されました。また、異分野の若手研究者や学部生・院生の皆様にも多数参加いただきましたし、更に96名の参加者の内、学部生・院生が74名に達したことは、大変意義深いことと考えています。

今後のシンポジウムの企画に参考とすべく、アンケートを取らせていただきました。96名の参加者中、62のアンケート用紙が回収されました。主な結果を以下に示します。

○ 埼玉大学のテニュアトラック普及・定着事業について      回答率(%)
1. よく知っている                        16%
2. あることは知っていたが、その設立趣旨等についてよく理解し
ているとはいえない                      26%
3. ほとんど知らない                       58%
4. その他(                     )     0%

○ 今回のシンポジウムをどのようにしてお知りになりましたか。
1. ポスター・チラシを見て                    48%
2. 大学のホームページを見て                   0%
3. 人から勧められて                       47%
4. その他(                     )     5%

○ 今回のシンポジウムに参加してみて、いかがでしたか。
1. とてもわかりやすく、研究をする上で、大いに参考になった    29%
2. 自分の専門とは異なるが、脳科学の一端について理解できた    57%
3. 普通                             11%
4. 難しく、まったく参考にならなかった              0%
5. その他(                     )

○ テニュアトラックのシンポジウムを今後どのようにすべきとお考えですか
1. テニュアトラックの情報発信として意義深く、今後も
継続すべき                          98%
2. 改善すべき点は多々あるものの、教官間の情報交換の場
として、今後に期待している                  2%
3. シンポジウムを企画した意図が曖昧である            0%
4. 開催の必要はない                       0%
5. その他                            0%

埼玉大学のテニュアトラック普及・定着事業について、「よく知らない」が58%にも及んでいます(「設立趣旨等についてよく理解しているとはいえない」を含めると、84%に達する)。今後シンポジウムなどの機会を利用して、更なる広報が必要性であると感じます。今回のシンポジウムに参加してみて、いかがでしたかの問いに対して、「とてもわかりやすく、研究をする上で、大いに参考になった」と「自分の専門とは異なるが、脳科学の一端について理解できた」の合計は86%に達し、この結果は、「テニュアトラックの情報発信として意義深く、(シンポジウムは)今後も継続すべき」の回答が98%に及ぶこととも整合しています。本シンポジウムは、若い方々におおむね受け入れられたと考えられます。

なお、当日のプログラムと発表概要は、以下の通りです。

プログラム
14:00-14:05 開会挨拶
坂井貴文(埼玉大学 理工学研究科長)
14:05-14:30 「光を用いて捉える小脳神経回路の成り立ち」
津田佐知子(研究機構・理工学研究科 テニュアトラック助教)
14:30-15:00 「ウイルス遺伝子工学を用いた嗅覚高次神経回路の解析」
宮道和成(東京大学農学生命科学研究科 特任准教授)
15:00-15:10 休憩(10分)
15:10-15:35 「分光法の開発に基づく生体分子のダイナミクス研究:ミクロとマクロを繋ぐ生物科学の可能性」
乙須拓洋(研究機構・理工学研究科 テニュアトラック助教)
15:35-16:15 「『逃げろ』!と指令を出す脳回路」
小田洋一(名古屋大学大学院理学研究科 教授)
16:15-16:20 閉会挨拶
弥益恭(埼玉大学理工学研究科 教授)
総合司会 津田佐知子
16:25-16:45 魚飼育室・研究室見学ツアー
17:30-19:00 懇親会(場所:バル・メリンの森(教職員レストラン))

発表概要

津田佐知子 (Sachiko Tsuda)  埼玉大学研究機構・理工学研究科生体制御
光を用いて明らかにする小脳神経回路の成り立ち
Proving the development of the cerebellar circuitry via light
脊椎動物の神経発生において,脳は神経組織の形態形成や機能的な神経回路の形成といった複数の過程を経て形作られる.この形と機能の形成メカニズムを明らかにするため,我々は進化的に保存された小脳に注目し,近年発展の著しい光技術(光遺伝学、4次元・神経活動イメージング)を用いている. 本セミナーでは、ゼブラフィッシュの小脳形成における、細胞集団のダイナミックな移動と機能的神経回路の形成について紹介する.

宮道和成 (Kazunari Miyamichi)
東京大学大学院農学生命科学研究科/ ERATO東原化学感覚シグナルプロジェクト
ウイルス遺伝子工学を用いた嗅覚高次神経回路の解析
Dissecting Higher Olfactory Neural Circuits by Viral and Genetic Technology
複雑な脳内における情報処理のしくみを理解するには,精密なニューロン接続地図を作製したり,行動中の動物において特定のニューロン群を操作する技術が必要である.本セミナーでは嗅覚系中枢の研究を例に,ウイルス遺伝子工学の手法を紹介する.まず狂犬病ウイルスを用いた単トランスシナプス標識法が新規回路要素の発見やニューロンのタイプを含めた精密な空間マップの描写に有効であることを紹介し,次に,フェロモン情報を処理する扁桃体-視床下部の機能解析について概説したい.

乙須拓洋 (Takuhiro Otosu) 埼玉大学研究機構・理工学研究科応用化学
分光法の開発に基づく生体分子のダイナミクス研究:ミクロとマクロを繋ぐ生物科学の可能性
Development of Novel Spectroscopy and its Application to the Study of Conformational Dynamics of Biomolecules
現代の生物科学研究において,蛍光法をはじめとする各種分光法に基づく生体イメージングは必須の測定技術となっている.本発表では生体イメージングにも応用されている蛍光相関分光法の原理と,新規蛍光相関分光法の開発に基づく生体分子,特に蛋白質の構造ダイナミクス研究について発表を行う.発表の後半では現在行っている膜蛋白質への蛍光相関分光法の応用の紹介を行うとともに,今後の生体イメージングの可能性について議論を行いたい.

小田洋一(Yoichi Oda) 名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻
『逃げろ!』と指令を出す脳回路
Neuronal circuits to command escape
敵や危険から素早く逃げるのは動物の生存にとって最も重要な運動の一つで,その運動をコントロールする脳回路は,敏感に危険を察知し可能な限り速く正確な運動指令を出す必要がある.我々はゼブラフィッシュやキンギョの逃避運動を対象にして,この必要性を満たして究極のパフォーマンスを発揮する,脳回路の構成とニューロンの特性を見出してきた.

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