理工学研究科 助教(生命科学部門・生体制御学)
テニュアトラック普及・定着事業
神経内分泌、神経生理学
令和5年4月1日 着任
痛み、性差、ステロイドホルモン、マウス
痛みを軽減・緩和することは、いつの時代も人類の課題です。痛みの受容にはヒトを含め動物で、男性より女性の方が痛みを感じやすく、慢性化しやすいという性差があります。そのため同じ疾患においても、男性と女性で症状や程度が異なることがあり、疾患の種類によっては発症率が男女で異なることも多いと言われています。近年、痛みの性差に関する研究は重要視されており、マウスを用いた基礎研究において、脊髄レベルでは雄はミクログリアが制御する一方、雌ではT細胞が痛みを引き起こす、という雌雄で異なるメカニズムが存在することも報告されてきました。私自身は、エストロゲンやアンドロゲンといった性ステロイドホルモンを含む神経内分泌学的研究に従事してきた背景があるため、痛みの性差の要因の一つとして性ステロイドホルモンに着目しています。さまざまな痛みの伝導路のうち、情動に関与する脳領域への性ステロイドホルモンの作用が雌雄でどのように異なるか、組織学的・生理学的・行動学的な観点から探索する予定です。本課題にはまだ足を踏み入れたばかりですが、新しいことにも挑戦しながら研究を進めていきたいと思います。