前 研究機構 准教授(人文社会科学研究科・社会学)
テニュアトラック普及・定着事業
歴史社会学
[Historical sociology]
平成26年4月 1 日 着任
平成28年3月31日 転出
平成28年4月 1 日~
東京大学大学院総合文化研究科 准教授
エスニシティ、ナショナリズム、ロシア・ユダヤ史、シオニズム、パレスチナ問題
[Ethnicity, Nationalism, Russian Jewish history, Zionism, The Israeli-Palestinian conflict]
イスラエルとパレスチナは、現在も頻繁にニュースになる紛争地として知られています。この紛争は、19世紀末にロシア帝国で開始されたユダヤ人のシオニズム運動と呼ばれる一種のナショナリズムがその主要な契機となっています。
私の研究は、その歴史に社会学的な視点から切り込んでいくというものです。20世紀初頭の時点でヨーロッパのユダヤ人の過半数が暮らしていたロシア帝国において、ユダヤ人は被差別マイノリティでした。そうした社会学的な条件が、シオニズムの経路を考えるうえで非常に重要になってきます。シオニズム運動は、パレスチナという地にユダヤ人の民族的拠点を設置することを目指す運動でしたが、それはロシア帝国においてユダヤ人の地位をいかに向上させるかという観点からも生まれていました。
そのロシア帝国は1917年に崩壊します。それまでの歴史については、著書『ロシア・シオニズムの想像力』(2012年)のなかで論じましたが、現在は、シオニズム運動に対して潜在的に重要な基盤を提供していたロシア帝国の崩壊が、運動やその思想にどのような影響を与えたのか、シオニズム以外の方向に向かっていたユダヤ人の動きとも比較しながら研究を進めています。
一次資料としては、ロシア語の、特にユダヤ人が出していた定期刊行物を主体としていますが、英語やヘブライ語の一次資料や研究文献、場合によってはドイツ語やイディッシュ語資料にもあたっています。
平成26年8月2日(土)、埼玉大学構内の理工学研究科棟7階・国際セミナー室にて、第一回目となるテニュアトラックシンポジウム「民族の罠」を開催し、67名の方にご参加いただきました。
講演ではユダヤ人やイスラエル、パレスチナ人にまつわる歴史や現状を紐とき、続くパネルディスカッションでは、ご聴講の皆さまにも積極的にご参加いただき、白熱した討論が繰り広げられました。
■ シンポジウムのようす → http://www.saitama-u.ac.jp/iron/tt/1442